国債価格 2019 11 16
多くの人は、「国債に価格がある」と聞くと、不思議に思うでしょう。
実は、株価と同じように、価格があって、上下するのです。
しかし、国債価格は、株価と違って、
値動きが一方通行のようになりやすいのです。
国債価格は、株価と違って、
「PER」や「PBR」などの投資指標がないので、
時には、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というような動きになります。
ところで、国債には、なぜ価格があるのか。
国債は、満期まで保有するのが原則です。
普通は、新規に発行された国債を満期まで保有するのです。
ところが、途中で、国債を売りたくなる、
いや、途中で買いたくなる場合があるのです。
たとえば、ある年、10年国債が3%の利回りで発行されたとします。
ところが、翌年には、10年国債は、利回りが1%で発行されたとなると、
3%の利回りの10年国債が、魅力的に見えませんか。
国債の利回りは、10年間固定なので、なおさら魅力的に見えるでしょう。
そういう国債を持っていると、
なんだか「プラチナ・チケット」を持っているような気分になります。
また、そういう国債を買いたい人が出てくるでしょう。
しかし、どうやって売買するのか。
そこで、国債に価格が必要になります。
10年国債を3%で発行する時に、
たとえば、価格を100円とするのです。
この価格は、国債入札の結果に左右されます。
翌年、10年国債の発行利回りは、1%になっていますので、
前年に100円で発行された国債価格は、大きく上昇しています。
これで、国債は、売買できるのです。
実は、「国債投資」は、途中換金のようなものではなく、
翌年、利回りが低下すると予想して、国債価格が上昇することを狙って行うものです。
しかし、多くの人は、翌年、利回りが低下しているかは予想できないので、
国債投資は、株式投資に比べて、ギャンブル性が高いと思うでしょうが、
関係者は、そうは思っていないようです。
翌年、景気が悪くなれば、
国債が買われて、利回りが低下するのは、経済の教科書にあります。
さらに、中央銀行が景気対策のために、
金利の低下を狙う金融政策を実施すると、
利回りも低下することになるでしょう。
もちろん、このような予想は、なかなか難しいので、
債券投資の分野には、「債券王」が存在するのです。
参考までに、途中で国債を売却する時の国債価格の計算式を書いておきます。
100+利率×残存期間
−−−−−−−−−−
換金する時の金利×残存期間
1+−−−−−−−−−−−−−−
100
この計算式で計算すると、残存期間は9年ですので、
3%の利回りが翌年には1%になっていたとすると、
国債価格は、116円になります。
(参考文献)
「国債の知識が面白いほど身につく本」(前田 佳彦 中経出版)